FIAT500(1.2POP)レビュー

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走る場面を選ぶ車

  • 直列4気筒
  • 1,200cc
  • 69馬力/トルク10.4

何やら可愛らしいデザインが特徴的な車。これはFIAT500というイタリアのコンパクトカーです。丸っこいフォルムは走行性能よりもレトロ可愛さを優先させており、家電チックな色も相まって独特な個性を醸し出しています。ちなみに500と書いてチンクエチェントと読みます。

エクステリア

なんと言ってもこの車の魅力はエクステリアデザイン!それに尽きます!MINIクーパーと同様にレトロ路線の流れを汲んでおり、はまる人にはドはまりするような唯一無二の存在感です。とりわけメタリックではないソリッドカラーが日常ライフにおける家電感を演出していますね。

個人的にですけどこの車に合う色は「白一択!」だと思っています。もちろん初代を意識して黄色に乗ったり、あえてミントのような色を選んでも楽しい車であることに変わりありません。この車を選ぶ人はそもそも汎個性ではないと思うので、自由な使い方をすればするほど映える車なんだと思いますよ。

インテリア

デザインにウエイトを置きすぎていてあまり機能的ではありません。写真のタイプはナビありモデルなのですが、ナビを付けるとエアコンの吹き出し口が小さくなるので夏場にエアコンで涼もうとすると微風しか来なくてなかなか冷えません。むしろそよ風レベル。

インテリアのテイストもエクステリアと同様に家電風であり、イタリア車でありながらスイスやスウェーデンのような北欧調のイメージがありますね。さぞかしIKEAの駐車場が似合いそうですが、IKEAで物を買って積むだけの積載能力はありません。バケツくらいは積める。

後述するデュアロジックと同じく日常的に使うには癖のあるインテリアですが、多少の操作性を犠牲にしてデザインで求めるならなかなか良い選択だと思います。私も日常使いの利便性を完全に捨てきってZ4を購入したわけですから、五感に働きかける色気に関してはトップクラスの出来映えです。

走行インプレッション

この排気量と大きさですから正直走りは期待していなかったんですけど、小さい割には思いのほか車体がガッシリしており荒れた路面でも不安定になることはありませんでした。ほんと最近の車は大したものですよ。ただね…致命的な問題がありまして、それはエンジンとトランスミッションです。

まずエンジン。一応1,200ccとあるんですけど国産で同クラスのヴィッツやノートと比べても明らかに非力です。上記の出力にも記載していますが、馬力が軽自動車の最高出力と5PSしか変わらず加速が必要なところで踏みこんでも音だけ豪快に響いて肝心の速度が上がりません。

それに追い討ちをかけるのがミッション。デュアロジックと呼ばれるこの機構…実はATではなくMTをベースにしたクラッチレスの自動変速装置。えっ!それってATじゃん!って思われる人もいるかもしれませんが、そもそもATとMTって構造が全くと言っていいほど違うんですよ。

ATはトルクコンバータと呼ばれる装置を介すことで滑らかな変速が出来るのですが、MTの場合はそれがないのでギアとギアが直接触れ合います。回転数の異なるギアを同調させるための装置がクラッチであり、このクラッチ操作がある影響で自動変速であっても動きがギクシャクするわけです。

おまけにAT特有のクリープ現象(トルコンがないので)もありませんから停止時はクラッチが繋がるまでスルスルと転がってしまいます。まぁ従来通り停止中にブレーキをしっかり踏んでおけば問題のない話なのですが、急な坂道における発進はとにかく大変の一言でした(;´д`)

見る人によって映り方が180度変わる

加速時にガックンガックン、速度計をよく見たら全然速度が出ていないこともしばしば…。正直交通量の少ない海岸線の道路を海を眺めながらのんびり走れるようなシチュエーションじゃないとこの車の真価を発揮できません。たぶん日常的に使っていたらストレスが溜まります。

しかしながらこれらのストレスは全て現代の社会交通システム及び日本の道路事情に合わないからだと感じます。日本のように交通量の多い狭い道を瞬発力をもって走るには低排気量+デュアロジックは条件的に不利です。正直これがふつうのATだったらもっとスムーズに走れたはずです。

だけど考えてみて下さい!この車はFIAT500です!この車に一般的大多数を誇るATを盛りこんだところでどんな魅力があるのでしょうか?この車を求める人はFIAT500という個性を買うんです。その個性がデザインであったりデュアロジックであったりするんですよ。

「FIAT500が欲しいんだ!」そんな想いで買った人にはまさしく最高の車です。逆に車に何の個性も求めない人にとっては扱いづらいだけの車に映ってしまいます。このあたりは趣味でMTに乗る人と仕事で仕方なくMTに乗る人で捉え方に相違が出てくるのと同じでしょうね。

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