備えておきたい一度に50万以上の出費
BMW E89 Z4(2,500cc直列6気筒)
2016年に購入したE89型Z4の前期型、初年度登録からテスター車にしか使われなかった経緯から新古車レベルの状態で手にすることが出来ました。当初は528iを購入しようと思っていたのですが、たまたま訪れたディーラーでこの車のデザインに一目惚れし、同じ自然吸気6気筒ということもあり気がつけば印鑑を押していました。
いつもお世話になっているBMWディーラー
多分人生の中で他に大金を即決したのはあとにも先にも家くらいです。Z4が我が家に来てから早7年…。もうそんなに時が過ぎたのかというくらいZ4との生活は常に新鮮さの伴うものでした。マフラーから響く6気筒サウンド、開閉ギミックのカッコいい電動ハードトップ、そしてデザインの美しさ。
まるで芸術品を持ち歩いているかのような非日常さがZ4最大の魅力なのだと思います。当然ながらこれだけ同じ時間を過ごしていればZ4の長所も欠点も少なからず理解してきているもの。維持費に関してもこの車特有の大出費も起こりますので、この記事ではZ4にかかった具体的な維持費を紹介していこうと思っています。
2016年(購入年)
- 特になし
さすがに購入初年度なので何もありませんでした。
2017年(1年目)
- タイヤ交換(ランフラット)…240,683円
- オイル交換(フィルター込み)…24,206円
購入して1年目なのに左後輪がパンクしました。原因は分かりませんがホイールのバルブ部分が劣化して空気が漏れているのではないかとのこと。確かに購入は2016年ですが生産されたのは2011年なのでバルブの劣化もありえる話です。念の為バルブは交換してもらいましたが、気持ち的にタイヤも交換しました。
2018年(2年目)
- 車検…153,201円
- オイル交換(フィルター込み)…24,281円
最初の車検だったので特に大きな不具合もなく最安価格で車検を行うことが出来ました。オイルは一見高そうに見えますが、BMWの純正オイルは一度交換すると2年間は(或いは20,000km)もつらしいので、一般的に5,000kmで交換する国産車とコスト的には大して変わりません。まだ交換して1年目なのに交換してしまいました。
2019年(3年目)
- 冷却水補充…10,850円
- ルーフ油圧修理…533,024円
- エンブレム交換…6,000円
- ワイパー交換(ブレード込み)…12,626円
購入3年目にしてZ4特有の地雷でもあるハードトップが壊れました。どうやら油圧系統からオイル漏れが発生したらしく、修理に50万円以上かかりました。巷で囁かれるドイツ車の高額出費とはまさにこのことだと思います。部品代がそもそも高額で、代用部品も趣味性の高い車なので基本的に存在しません。
つまり「ディーラーではなく外車専用の整備工場で修理すれば安く済むだろう、ネットにもそう書いてあるし!」といった想定が全く通用しません。そもそも部品代が高く、代用品も流通量が少なすぎていつ見つかるかも分からないリビルト品くらいなので、工賃どうこうで費用を抑えられる話ではないのです。
オイル漏れの発生した油圧ユニット
エンブレム交換という項目を見て頭が「?」になった方もいらっしゃるかもしれませんが、高速道路を走行中に何故かエンブレムが上空の彼方に吹っ飛びました。この時はディーラーが長期休暇だったので、Amazonで正規品を購入して自力で交換したので6,000円で済みました(大変だったのでもう二度と自分ではやりません)。
劣化により剥がれたエンブレム
エンブレムは裏側からナットで固定するタイプ
ワイパーゴムは日本では流通していないサイズなのでワイパーブレードごと交換です。ドイツ本国から空輸で運ばれてくるので在庫がない場合は2週間ほど到着を待つ必要があります。
2020年(4年目)
- 車検…321,723円
- オイル交換(フィルター込み)…28,600円
- タイヤ交換(ノーマル)…172,221円
- 応急パンク修理キット…4,242円
- ガラスコーティング(親水)…120,467円
- エンブレム交換…13,261円
今回の車検を機会にランフラットタイヤからノーマルタイヤ(DUNLOP DIREZZA)に交換して居心地の向上を図りました。それに伴い法規の関係から応急パンク修理キットも購入。ボディの劣化を遅らせるためにガラスコーティングも実施したので全体的に出費が多くなってしまいました。そしてまたもやエンブレムが…。
サイドエンブレムは洗車中に飛んでいった
今度はサイドエンブレムです。洗車場で高圧洗浄機にかけていたらどこかに飛んでいきました。さすがに自力で交換するのは嫌だったのでディーラーにて交換…工賃込で13,261円でした。ちなみにBMWのエンブレムはプラスチックにBMWのフィルムが貼られているだけの構造なので7,000円台の価値は正直ないと思います。
2021年(5年目)
- トランク水漏れ修理…456,192円
トランク水没に関わる修理代金の明細書
トランクが水没してルーフを稼働させるためのハイドロリックユニットが壊れました。それに伴い同じ場所にあったヒューズボックスを含むありとあらゆる箇所もやられてしまいました。原因はリアベンチレーションという些細なゴム部品の劣化です。これ自体は大した部品ではないのですが…。
ちなみに後で別の交換部品が必要になったとのことで総額は456,192円になってしまいました。おそらくZ4特有の電動ハードトップがなければこれらの出費もなかったのかと思います。ちなみにハイドロリックユニットのリビルト品は安くても25万円前後はするので、オープンカーを購入予定の方は覚悟しておきましょう(笑)
2022年(6年目)
- 車検…246,327円
- フロントテンションロッド交換…72,346円
- リアモール交換…8,204円
- オイル交換(フィルター込み)…27,260円
6年目の割には劣化してオイル漏れをしていたフロントテンションロッド以外は特に不具合がありませんでした。とりわけ電動ハードトップ関連の修理はほとんど終わっているので、今後の大きな出費はルーフ関連のモールだと思います。国産車と比べて弱すぎるゴム部品を保護材で何とか延命措置をしている状態です。
2023年(7年目)
- 特になし
7年ぶりの特になしです。「何事もない生活が一番幸せである」の典型例であると言えるでしょう。ヘッドライトの黄ばみが目立ってきたように感じますが、研磨自体はどこの整備向上でもやってくれるのでそのうち施工しようかと考えています。フロントガラスも結構傷ついているらしいのでこちらも以後検討…。
年度毎の整備累計出費(ランニングコストは除く)
2016年…0円
2017年…264,889円
2018年…177,482円
2019年…562,500円
2020年…660514円
2021年…456,192円
2022年…354,137円
2023年…経過中
累計(2016年〜2023年)…2,475,714円
7年間の整備にかかった累計費用は約2,500,000円ほどになりました。この金額には駐車場代やガソリン代、自動車保険代は含んでいないので、別途支払いが必要になる概算がこれくらいかなと思って頂ければ良いと思います。とりわけ電動ハードトップ関連では100万円ほどの出費は覚悟しておいたほうが無難です。
当然オープンカーでなければもっと安く済むことは間違いないと思いますので、経済性を取るか楽しさを優先するかで見方は変わってくるでしょう。イメージ的には突発的に訪れる「月50万〜60万円の出費をどう捉えるか」によります。それでも欲しければきっとあなたとオープンカーとの相性は抜群だと思います。
維持費が国産車と変わらないと言われるのは9割以上嘘
基本的に部品代が高い以上、国産車と同等の維持管理費で回せるわけがありません。例えば以前乗っていたトヨタ・カムリのゴムモール交換は27,000円ほどでしたが、部品自体は18,000円くらいです。一方でZ4の場合は部品だけで182,310円かかり、しかもカムリよりも一回り小さくて早ければ1年で劣化する…。
3年落ちのディーラー車(420i)でも亀裂は防げない
メルセデスも含めてゴム類の劣化が早いのはもはや宿命
本当にBMWのゴム系は何なのかと思うくらい弱くて高いです。それと少しでも修理費を安く済ませようとディーラーではない専門店に相談をすると「あ〜それはやったことがないので無理ですね〜。」と断られるケースもあります。特に電動ハードトップは絶対数が少ない上にノウハウもない場合が多いので尚更です。
BMWディーラーでさえ本国ドイツからエンジニアを派遣して修理を行うくらいですからね…。それとBMMで無視できないのがDSCの存在です。簡単に言えば横滑り防止装置です。これが壊れるとBMWで一番売れている3シリーズですら30万円以上の費用がかかります。こればかりは車の管理状態や運にもよるので何とも言えないです。
BMWの維持費は想定+余裕が必要
そもそもBMWの維持費は何故高いのか…。それは単純に「部品の単価が高いこと」と「予防整備の考え方」からくるものです。日本車では耐久性を高めるために性能を犠牲にする傾向があります。軽い故障程度でもメーカーの信用をなくしてしまうくらいに日本人の故障に対する反応はシビアです。
一方でドイツ車は性能主義です。「機械はいずれ壊れるものだから壊れる前に自分で整備を行うのが当たり前、整備もせずに壊れたのなら明らかに自己責任。」という概念があります。そもそも世界的にはそれが普通で、異常なほどのお客様商売が根付いた日本のほうがむしろマイノリティーな存在なのです。
ドイツ車の性能主義的な思想は一度乗ってみれば自ずと実感するはずです。消耗品は本当に消耗するので、オイルは本当に燃やすしブレーキはパッドごと削るし冷却水は気がつけば蒸発して量が減っています。その分ブレーキを踏めば思った通りに止まるしエンジンのレスポンスも国産車では太刀打ち出来ないくらい鋭いです。
ドイツ車から乗り換えると国産車のブレーキが弱くて恐怖を感じることになるのはもはや「あるある」の世界です。あの安定性に優れたカムリでさえBMWの感覚でブレーキを踏むと想像よりも止まれなくてビックリすると思います。確かに国産車のブレーキフィーリングを分析するとブレーキ自体には優しい設計なのでしょう。
それとドイツ車は予防整備の概念からまだ使える部品であっても交換を勧めてきます。これは常に中身を最新の状態に整えることでいつでも最高のパフォーマンスを発揮し、耐久性を高めることで突発的な故障を事前に防ぐ役割を担っているのです。BMWの維持費が高いと言われる由縁はこのあたりも影響しているわけですね。
この傾向はとりわけ正規ディーラーでは強く、それ以外の整備工場では弱くなります。つまり「正規ディーラーではなく専門店のほうが安く済む」という情報はこれらの予防整備を国産車と同様に行わないことで安く済むといった意味合いが強いでしょう。決して同じ部品代が安くなるわけではありません。
それでもなおBMWの人気が高いのは1シリーズから8シリーズを含めて運転が楽しいこと…これに尽きると思います。一度乗るとなかなか手放せなくなってしまうのはこのためです。突発的な出費に備えて月に5,000円ほど別に貯めておくと何かしらの故障があっても大体の場合はカバー出来ると思います。
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