すでに有料化を実施している東京多摩地区
23区に住んでいて「便利だなぁ」と思う要因のひとつに「ゴミ袋の指定がない」ことが挙げられるかと思います。実際のところは無料というわけではなく、スーパーでSサイズの袋は3円、Mサイズの袋は5円といったように多少なりともお金は払っているのですが、それでも全体における出費は軽微なものなので家計における負担はほぼないに等しいです。
そもそも1枚3円〜5円という価格は単純に計算して100枚購入しても300円〜500円レベルなので、ふつうにスーパーやダイソーなどで市販のゴミ袋を購入するよりもコスパ的には格段に優れています。なので個人的には「袋いりますか?」形式ではなく、いらない場合のみ「袋いりません」という申告制にしてもらいたいかも…。
一方で多摩地区では既にゴミ袋の有料化を実施しています。吉祥寺エリア(武蔵野市)に隣接する練馬区や杉並区のドラッグストアでは多摩地区向けの指定ゴミ袋が販売されていることもあるのですが、驚くべきはその価格…。例として武蔵野市における指定ゴミ袋の価格を調べてみると平均的なゴミ袋のサイズである20L(10枚1組)400円になります。
つまり1枚あたりの単価は40円になるので、単純に一般的なスーパーで購入できる袋と比べると約8倍高いことになります。これが40L(10枚1組)だと800円なのでその差はなんと16倍!ゴミ袋だと分かりにくいのですが、これを1本200円のサンマに置き換えるなら概ね1本3,200円まで値上がったレートになります。そりゃ〜ゴミの排出量減りますよね。
ゴミ袋の有料化によって実際にゴミが減るのであれば、50年先で満杯になるであろう最終処分場の問題も含めて23区でも有料化にしよう!…最近の記事の中身を要約するとこんな感じだと思います。
ゴミの排出量削減がもたらす意味
ただここで「ゴミが減ったから効果があった!」と結論づけるのはいささか軽率です。確かにゴミは減りました。ただそこで思考を止めるのではなく、その先のゴミが減った背景にも考慮する必要があります。
1.通常通りの生活を送っているのならゴミの絶対量は変わらない
ゴミ袋の有料化後であっても通常の生活を送っている限りサランラップを買えば燃えるゴミは発生しますしトイレットペーパーを買えばプラゴミも発生します。リンゴであれば皮も食べることで生ゴミを抑えることはできるかもしれませんが、いわゆる梱包ゴミはその形で販売されている限り個人でどうこうできるものではありません。
つまり「買い控え」を行わない限りはゴミは通常通り発生します。それでもゴミの排出量が減ったということは残りのゴミはどこにいってしまったのでしょう?
気がついたら消えていた?
庭に埋めたのでしょうか?
もしくはゴミを食べた?
そういえばゴミを食べるポケモンもいましたね。
物質を分子レベルで分解するオーバーテクノロジーでもあれば別ですが、基本的に捨てなかったゴミは家庭内に留まることになります。つまり処分場に出させるゴミは削減されたとしても、東京全体におけるゴミの絶対量は変わっていないのです。多摩地区のゴミ袋有料化に伴い不法投棄が増えたとの記事を見かけたりもしますが果たして…。
(ゴミ袋有料化に伴う不法投棄の増加は見られないとの見方もありますが、情報源が自治体だったりするのでどうでしょうかね。)
2.買い控えによる単純な経済停滞
これまで色々と述べてきましたが、ゴミを減らす方法に関しては至って簡単です。モノを買わなければいいのです。ゴミ袋有料化に伴い家庭内での経済的負担が増えるのであれば、多少なりとも購入を我慢しなければならない場面も出てくるかと思います。たかが数百円かもしれませんが、この数百円を出すのが厳しい家庭が今の日本の大半を占めています。
欲しいけど我慢、我慢、我慢…本当にこの国は我慢を重んじる文化があるのでしょうね。買い控えが生じれば必然的に売上も下がるので、販売側はさらなる低価格路線と安い人件費を求めるようになります。「ゴミが減った」…すなわちそれは「モノの流通(購入→廃棄)が減った」とも解釈できる可能性があります。
ゴミ袋有料化よりもゴミを減らす仕組み作りが重要
どんなにゴミを出さないように気を使っていてもゴミは必ず発生します。しかしながら個人ではなく企業側の努力でゴミを削減することもできます。例えば大手ドラッグストア、クリエイトでは食材の刻みネギのトレイを廃して袋詰めで販売しています。軽微かもしれませんがペットボトルのラベルレス化もゴミの絶対量で見れば確実に削減されています。
コロナが発生した当初にも言えますが、不要な外出を個人に求めたところでどうにもなりません。会社側が出勤を求める以上個人の意思はほぼ反映されないので、本当に外出自粛を求めるのであれば個人ではなく企業側に働きかけるべきです。Amazonでは梱包に段ボールではなく紙袋を使用する場面も増えてきましたが、これは企業側の配慮によるものです。
マックのストローが紙製になってうんぬん…。まぁそれは仕方がありません。利便性はどうであれ、企業側がゴミを削減するような形で商品を提供してくれれば、購入側も自動的にゴミを減らすことができます。つまり「購入した時点でそもそもゴミが少なくなる工夫」…現状ではゴミ袋の有料化よりも真っ先に行うべき対策ではないでしょうか。
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