BMW 4シリーズグランクーペ(420i M Sport XDRIVE)レビュー

記事内に広告が含まれています。
広告

美しいデザインが魅力的な4ドアクーペ

  • 直列4気筒
  • 2,000ccターボ
  • 184馬力/トルク27.6

4シリーズは3シリーズをベースにしたクーペモデル。実のところドア数によるクーペの定義はないのですが、一般的に2ドアと認識されるクーペモデルの4ドア版がグランクーペという位置づけです。3シリーズよりも一回り大きく、最大の違いはサッシュレスドアとハッチバックか否か。

3シリーズよりも全体にボリューム感が増しているので高級感は向上しています。3シリーズでは物足りなく、5シリーズではサイズ的に難がある人向けにラインナップされたのがこの4シリーズグランクーペです。通常のクーペと比べても全長が拡大されているので間延び感がありません。

今回はZ4がリコールを受けたのでディーラーで預けている間にお借りした代車でレビューします。

エクステリア

ベースとなった3シリーズに酷似していますがバンパーサイドのデザインテイストが大きく異なります。3シリーズの凝縮感と比較すると広がり感を感じさせるデザインです。彫刻のような彫りの深さはBMWの特徴でもあり、精悍かつスタイリッシュな印象を与えてくれます。

サッシュレスドアを採用し、全長を延長させているので間延び感をまったく感じさせないサイドシルエット。フロントフェンダー後方に取り付けられたサメのエラのようなデザインが4シリーズの特徴です。リアがトランクではなくてハッチバックなのでなだらかなデザインもスタイリッシュ!

リアデザイン。

なぜかFRではなくAWDのXDRIVEです。往年のBMWと言えば後輪駆動のイメージですが、降雪地帯などの需要を考慮して四輪駆動もラインナップしています。基本的に誰が見てもBMWに見える王道のデザインをしているのでそれなりに所有欲は満たされると思いますよ。

インテリア

メルセデスが分かりやすい高級感を醸し出すのに対してBMWはあくまで高質感!メルセデスと比べるとプラスチックの箇所が目立ちますが、そのプラスチック自体の手触りだったり見た目だったりが不思議と質感の高さを訴えかけてきます。高い車には高いなりの理由がある。

ステアリングには色々なボタンが配置されていますがよく分かりません。Z4にも色々なボタンがついていますがほとんど触ったことがないですね。車の中で音楽を聞く人ならステアリングで音量調節あたりを行うと思うのですが、音楽すら聞かないので活用する機会があまりないです。

メーターはシンプル!

照明はアンバー!個人的にはよくありがちなホワイトよりもアンバーのほうが好みです。

操作性を追求したエアコンスイッチ。

もちろん室内イルミネーションも搭載されています。

一世代前のシフトレバー。特筆すべきは手前にチラっと見えるハンドブレーキ。今の車は電動式が多いけど正直ドイツ車はこれでいい。電装品は国産車を除いていつかは壊れるものだと思っているので、あえて爆弾を積むよりも物理で直接引っ張るほうが安心できると思うんですよね。

サッパリとしたドアのデザイン。ほぼソフトパッドなので触り心地も良好!

シートメモリーは最大2パターン記憶できるみたい。

ドリンクホルダー。

ちなみに後席はゆったりしているのですが座面の後部が沈んでいるのでかなりスッポリ感があります。イメージ的にはスポーツカーの後席って感じ。

3シリーズとの明確な差異であるサッシュレスドアは見た目的にスタイリッシュ!ただZ4と同じく開閉時に自動的に下がる機構(1cmくらい)が搭載されているので故障のリスクはあります。

ラゲッジは3シリーズのようにセダンではないのでルーフ部分から大きく開口するハッチバック式です。キーレスからもボタン操作でハッチを開くことが可能。開く高さについてはiDriveの設定より細かく調整することもできます。最初はこの機能に気が付かなくて手動で開閉していました(笑)

ラゲッジのマット下にはちょっとした小物入れがあります。車検証とか整備記録はここに入れておけば助手席グローブボックス内がスッキリしますね。

走行インプレッション

過去に購入候補として考えていたこともあり期待に胸を膨らませて運転をしてみたのですが、良い意味でも悪い意味でも「個性」を感じることはありませんでした。そもそもレースカーがベースであるZ4に普段から乗っているせいか操安性に関してはZ4に遠く及びません。

逆に言えばZ4が特異な性質をもつ車(しかもオープンカーという趣味に特化した)なので、一般的なファミリーユースとして考えれば十分な性能をもっていると言えます。少なくともカムリやアコードクラスと比べてもエンジンの軽快感やシャシーの剛性感は圧倒的に上です。

残念ながらBMWやメルセデスの運転に慣れてしまうと現行型のカムリであっても運転に不安を感じてしまいます。これが駆動形式の違いなのか(カムリはFF)味付けの違いなのかは分かりませんが、ドイツ車と国産車はそもそも車に対する考え方が根本的に異なるんでしょうね。

一度BMWに乗ると(たとえそれが最安価な1シリーズであったとしても)多くの国産2,000ccクラスの車がいかに日本人を小馬鹿にしているのかが分かるくらい差があると個人的に思っています。国産LOVEな人には申し訳ないですが、本当に機会があれば一度BMWを乗って頂きたいです。

話は戻って4シリーズグランクーペですが、まるで大きな塊を自由自在に動かしているような感覚になれるくらい非常に質感の高い走りを見せてくれます。微妙な路面の凹凸に対してもそれが違和感ではなくひとつの情報としてステアリングから伝えてくれるのは見事の一言です。

加速力は2,000ccターボなのでお世辞にも爆速というわけではありませんが、日常域におけるトルクのバンドが広いので決して遅いというわけでもありません。イメージ的には気がつけば速度が出ているという感覚で、高速域においても速さを感じさせないのはそれだけ基本がしっかりとしている証拠です。

それでも4シリーズグランクーペを運転していて「楽しい」と感じなかったのは前述したZ4の影響だと思います。私は走り屋ではないので運転に楽しさなんて求めていませんが、少なくともZ4と比べると退屈感を感じてしまったのは事実です。

トルクにおいては数値上だとZ4(sDrive23i)よりも上なはずですが、実際の加速力ではZ4のほうが速く感じるのは吹き上がりの鋭い直列6気筒であることと車重が影響しているからだと思います。少し古い話題で例えるなら300馬力のレジェンドより280馬力のフーガのほうが速かったのと同じ理屈です。

もしかしたらパワーウエイトレシオの関係で同じエンジンを積む3シリーズのほうが動力的には有利かもしれませんが、車重の重さは良い方向に働くこともあるのでなんとも言えないのが実情です。

軽快感の3シリーズ、高級感の4シリーズ!

4シリーズグランクーペの魅力はなんと言っても全長を延ばして車高を下げた単純なカッコよさにあります。Z4と同じくデザインに惚れたなら即買いだと思いますが、通常のクーペと異なりドアが4つ(厳密には5つ)あることが大きなメリットですね。日常的にも不便なく使うことができます。

もちろんBMWならではの悩みもしっかりと引き継いでいます。例えばモール類…。

何やら端のゴムが割れていますね。

このように年式を考えてもゴムの割れが発生してしまうのは運命なのでしょうか。国産車なら相当荒い扱い方をしない限りこんな簡単にゴムが割れることはありません。これは気候の違いが一番の要因なのですが、BMWは日本に輸出する際もわざわざ現地の気候に合わせることはしないっぽいです。

ただこれに関しては1シリーズであれX7であれBMWユーザーならいつかは共通の悩みを抱えることになるので、自分が気に入ったBMWを購入することが最善策なのだと思います。結局のところ不安はあってもそれはグランクーペに起因する問題ではないので、購入して満足感が上回ることは確かだと思います。

コメント