マツダ CX-5(2.0S プロアクティブ)レビュー

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マツダを支える基幹モデル

  • 直列4気筒
  • 2,000cc
  • 155馬力/トルク20.0

デザイン面で大躍進を続けるマツダ。その独特なデザインに賛否両論があるのはマツダのデザインが個性的かつ先鋭的であるという裏付けでもあります。少なくともクロノスやファミリア、カペラが台頭していたあの頃に比べればマツダのデザイン力はかなり向上したと言えますね。

あのコスモやRX-7を手掛けたマツダがSUVで勝負に出るなんて…当時の私にはSMAPが解散したのと同じくらい衝撃的でした。結果として見た目のスタイリッシュさ、国産メーカーでは珍しいディーゼルのラインナップもあってマツダCX-5は超がつくほどの人気モデルになったのです。

今回もシェアカーにてその実力を垣間見たいと思います。本当は2.2Lのディーゼルターボをレビューしたかったのですが、シェアカーの事情を考慮すると(ラインナップの中でガソリンとディーゼルが混在していると間違えて給油してしまう人がいそうだから)仕方がないのかもしれません。

エクステリア

とにかくマツダの特徴と言えばディーゼル!そしてこのグワッとした顔つきでしょう。フォレスターやアウトランダーあたりの「THE!クロカン!」的な顔つきではなくどちらかというとハリアーに近い都会派SUVの顔つきです。性能面でもFFをメインにしているのはハリアーと同じ。

ハリアーがスパゲッティー、フォレスターがごん太うどん、アウトランダーがほうとうだとするとCX-5は素麺って感じ。最終型プレマシーで見られたような謎の掘りのようなギミックはなく、面と線でクッキリとデザインされているためクレイモデルをそのまま販売したかのような印象を受けます。

ただなぜか外車に見られるような塊感や重量感は希薄で、材質の問題からなのか鉄が安っぽく見えてしまいます。色の影響もあるのかな?

インテリア

良くも悪くも欧州的…もっと言ってしまえばあからさまにBMWを意識しています。最新のMAZDA3やCX-30ではさすがに諦めたのかアルファロメオチックになりましたが、このモデルが販売された時期のマツダ車はBMWをベンチマークにしていたのではないかと思います。

シグネチャーグリルのメッキ部をヘッドライトまで食い込ませる手法はBMWです。ナビゲーションが専用のもので社外品を選ぶ余地がないのもBMWです。おまけにBMWのiDriveを、使いにくさもそのままにパクったマツダコネクトはさすがとしか言いようがありません。

あからさまにパクって質感が下位互換、それがCX-5のインテリアに抱いた最初の印象でした。マツダは2008年に登場した2代目アテンザあたりからサテンシルバー調のベゼルを好んで使っていますが、通常のクロームメッキよりも安っぽいので正直微妙です。ちなみにBMWはメッキではなく本当に金属です。

マツダ自慢のアイコネクト。何度使っても使いにくいのは慣れの問題ではないと思いますが、唯一の利点はディスプレイに触らなくてもよいので潔癖症の人には嬉しい仕様。ディスプレイの指紋対策はバッチリなのにシフトレバー周辺が指紋や線傷が目立ちやすいピアノブラックなのは謎です。

装備は可もなく不可もなく。

リアシートはCX-5自体のサイズの大きさもあってかかなり広いです。座り心地もなかなか良かったです。

メーターはシンプルな白色自発光式メーター。個人的には先代「大気」コンセプト時代のラブホのようなピンクとブルーのメーターが好きだったかな。あのメーターのカッコ良さだけでアテンザを購入して乗っていたくらいです。ただ度重なる故障で「本当に日本車?」と思ったのはここだけの話。

国産メーカーでは珍しいオルガン式アクセスペダルを採用しているのもBMWを意識しているのかな?

ただ踏み心地はBMWと比べると雲泥の差で、CX-5のアクセルペダルはスカスカと軽すぎるテイストでとにかく安っぽい!まぁ本当に安いのだから仕方がないのかもしれませんが、数年後にプラスチックが掠れた「キュッキュッ」って音がしそうなくらいにペダルの質感は高くはありません。

少し見えづらいかもしれませんがヘッドアップディスプレイが搭載されています。デジタル式の速度メーターや速度標識がリアルタイムで表示されて「何これ凄い!」って思ったのですが徐々に邪魔になってきます。イメージ的にはゲーム中に目の前で虫が飛んている感じ。

多分設定で消すことができると思うので気になる方は対策法を調べたほうが良さそうです。

荷室はさすがに広いですね!必要にして十分のスペースがあるので無理に2列目シートを倒さなくても大体の物は収納できると思います。

走行インプレッション

今回運転したグレードは一番排気量の少ない2.0Lモデルでしたが、一般的な走行面では特に過不足もなくふつうに走ってくれます。そう、ふつうです。特に何の驚きも感動もない「ふつう」を極めたような車です。この感覚は以前ハリアーの2.0Lモデルを乗ったときにも抱いた感想です。

メルセデスやBMWには例え排気量が1.2Lであろうと「コレ欲しい!」と思わせるような走りの質感と特別感がありました。もっと言ってしまえば同じトヨタ内であってもハリアーの2.0LモデルよりC-HRの1.2Lターボモデルのほうがなぜか車体にドッシリ感があります。

おそらくこれはSUVに対する違和感のようなもので、CX-5やハリアーは車体が大きく見える割に全てにおける操作系統が「軽い」ことに起因していると思います。ようするにアクセル、ブレーキ、ハンドルと言ったような人が直接触れる部分のテイストがとにかく軽いんです。

アイポイントと内装の処理に目を瞑ればカローラと言われても納得してしまうほどの軽さです。これが高速巡航時にでもなればシャシー性能の良さが分かってくるのかもしれませんが、市街地で走る限りは見た目のデザインでしか選ぶ余地がないように思います。

もしかしたらどの車も優等生すぎてテクノロジー的な面に関しての差別化が難しいのかもしれません。これがディーゼルモデルならば足回りのセッティングや重量の関係でまた違った感想を抱くのだと思いますが、残念ながら今回運転した2.0Lモデルにマツダの謳う走る歓びは感じられませんでした。

むしろ今の日本では誰がどの車に乗っても違和感がないようにバランス調整でもしているのではないでしょうか。荷物を積んでも軽やかに走るので絶対的なパワーを求めなければ十分な車です。ただ個人的にはこの軽さに表現し難い違和感があり、それが同時に怖さにも直結しています。

スタイリッシュなデザインに惚れたのなら買い

車をファッションと捉えるのならCX-5は最適株です。荷物も詰めて安全装備も一通り揃っているのでとりわけ大きな不満はないと思います。近所への買い物やちょっとした旅行にもマルチに使える器の広さがこの車のポイントです。逆に言えばこの車でなくても似たような車はたくさんあります。

パッと見で悪路に強そうに見えても別に強いわけではありません。ハリアーと同様にカジュアルSUVとしての側面が強いので、最終的にはデザイン面での好みの問題になるかと思います。もう一度言いますが性能面で不満はありません。ただもう少し進んで選べるような差別化が欲しいと思います。

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