トヨタ CH-R(S-T)レビュー

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まるでトヨタ版ビークロス

  • 直列4気筒
  • 1,200ccターボ
  • 116馬力/トルク18.9

この車を初めて見た時は「えっ!あのトヨタがこんな奇抜なデザインつくれるんだ!」って思ったものですが、よくよく考えてみれば現行プリウスだって想像の斜め上を行くデザインでしたから、今どきこれくらいなら当たり前なのでしょう。存在感だけは凄い。

エクステリア

フロントはプリウス同様にやり過ぎた感が否めませんが、サイドの切り立ったラインはレクサスNXを彷彿とさせるスタイリッシュなものです。正面から見るとローマ字のXに見えるテイストが現在のトヨタデザインの流れに合わせていますね。

全体的に重心を低く身構えたドッシリとしたデザインをしており、サイドスカート部をせり上げて軽快な印象にした日産ジュークやホンダヴェゼルとは異なった個性を演出しています。個人的に気になったのはリアドアの形状。アルファロメオみたい。

これがね、とにかく実用性ガン無視なんですよ…。デザインを追及した車なのはグラスエリアの狭さを見れば分かるんですけど、ドアハンドルが上の方にあると両手に荷物がある場合は片手に持ちかえるか、そのまま上の方に持ち上げてグリップを握るかしかないんですよね。

その際買い物袋が車体に当たったりするから気が気じゃない。フライパンなんて袋に入っていたら最悪ドアに凹みができちゃいます。加えて言うならドアグリップ部になぜかピアノブラック塗装が施されているので、私のように細かい線傷が気になるタイプには向かないです。

インテリア

見た目の質感が高いのはさすがトヨタ!だけど樹脂部分に近づいてみると、少し擦っただけで傷がつきそうなチープな部分が見えてきます。このあたりは上位のハリアーにも共通するネガティブな部分ですね。ソフトパッドの質感も旧来のものから少し安っぽくなった気がします。

メーターの視認性は良好!針の形状も大きくて良いですね。そして個人的に称賛したい部分がここ。

なんとナビ部分が2DIN規格!今どき「専用デザイン」とか謳いながら利便性を排除したインパネ一体型の規格が多いなか、ここに来てまさかの2DIN規格の採用に全米が泣いた!2DIN規格ならオートバックスやイエローハットとかで自由にナビを選ぶ楽しみがありますからね。

とりわけトヨタの判断的にはCH-Rのキャラクターやクラスを考えると、ユーザーがある程度自由に選べる余地を残した方が最善と考えたのでしょう。トヨタは昔から地味にマーケティングが強いですから、このあたりはユーザーの要望を取り入れたのかもしれません。

後部座席はこの通り狭いです。極端な閉鎖空間ではないにしろ、それに近いものがあると思います。同じピラー内蔵型ドアグリップを採用したヴェゼルはここまで狭く感じませんから、発売から月日が経過した今でも商品力が落ちない理由はそこにあるのかもしれません。

走行インプレッション

今回は1,800ccのハイブリッドではなく1,200ccのターボ搭載モデルを運転しました。116馬力という平凡な数値以上にシームレスかつ力強い加速を体感できます。低速トルクが低回転域でもスルスルと発生するので扱いやすいです。

車体剛性も非常に高く、車をコントロールしていて不快になる点は皆無でした。しかし…とにかく視界は悪いです!前は特筆すべき点はないんですけど、後ろはガラスの面積が少なすぎてほとんど見えないです。不安な人はバックモニターを備えたほうが良いかもしれません。

絶妙なるトヨタマジック

最初は奇抜なデザインに見えても時間が経てば「あれ?思ったより悪くないじゃん」と思えてしまう不思議な感覚がトヨタ車にはあります。おそらく初代マークXが登場したあたりからですかね。シエンタもそうですけど一度あの顔に慣れてしまうと他が古臭く見えてしまいます。

CH-Rも十分奇抜なデザインをしているのですが、それ以前にプリウスやらシエンタやらがトヨタらしからぬ究極にアクの強いデザインで攻めてきたので、一周まわってCH-Rなんて逆に大人しく見えてしまいますよ(笑)そう考えると先鋭的に映ったりするんですよね。

まるでコンセプトカーがそのまま発売されたかのようなデザインは、かつて「いすゞ(国内では2002年まで乗用車を販売していた)」から販売されていたビークロスを彷彿とさせます。まぁあちらは売れませんでしたけど、登場時のインパクトを考えればそれくらいの衝撃はあったかと思います。

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