三菱 アイ 納車後の整備にかかった費用

16年落ちの整備無中古車は整備が必須

中古車を選ぶ際は車検の有無のみならず「整備」の有無も重要になってきます。前回の記事でも軽く述べましたが、車検は基準さえ満たしてしまえばエンジンオイルが黒かろうがバッテリーの寿命が限界だろうが通ってしまいます。これらを納車前に点検交換を行ってくれる(必要であれば)のが整備有モデルです。

基本的に購入後も安心して乗りたいのであれば整備有モデル一択だと思いますが、安さを優先したり自社や知人の整備工場で見て貰える人であれば整備無モデルを選ぶ場合もあります。購入するユーザーがどちらを求めるのかによって一長一短がある仕組みになっているので、中古車選びの際は整備の有無を見ておきましょう。

ちなみに私が購入した三菱アイは「整備無」モデルです。当然ながら現状渡しなので様々な懸念が頭をよぎりましたが、求めるデザイン、走行距離、最低限の動力性能、そして価格を考慮するとこの車しかありませんでした。とりあえず私の場合は簡単な整備であれば元教習指導員なので自分で行うことが出来ます。

分解を伴う点検に関しては整備専門のお店で見て貰うことで不具合箇所を把握することにしました。私がお世話になった車検館では法定12ヶ月点検を僅か6,050円で実施してくれるのでコスパ的に凄く良かったですね。自分で分解することの労力は教習指導員時代によく知っているので、低コストで頼めるのは本当に助かります。

結果的にはバッテリーの劣化具合しか不具合が見当たらず、整備無の格安中古車というジャンルにおいては「アタリ」を引くことが出来たみたいです。懸念していた下回りのブッシュの亀裂やオイル漏れ、リザーバータンクの劣化等は特になかったので、基本的な部品の交換だけでしばらくは大丈夫そうです。

ということで今回は25万円で購入した格安軽自動車の整備記録が中心になります。最後に総額もまとめてご紹介します。

エアコンフィルター

  • 価格 1,290円(整備工場での一般的な交換費用 3,000円〜5,000円)
  • 所要時間 5分

個人的に真っ先に交換したかった箇所がエアコンフィルターです。法定12ヶ月点検時に特に指摘はなかったのですが、フィルター自体は大した価格ではなく、交換作業も比較的楽なのでササッと終わらせちゃいましょう。見た目は綺麗であっても誰かが使ったマスクを自分で使いたいとは思いませんよね。そんなイメージです。

自動車のエアコンフィルターの大半はグローブボックスの奥にあるのでさっそく外していきます。少し力を入れるだけで簡単にパコっと外れるのはさすが軽自動車ですね。消耗品の交換がこれだけ楽だと非常に助かります。Z4のように下からアクセスする必要がないのでネジ回しも必要ありません。


グローブボックス奥の白いケースがフィルターボックス


引き抜いた直後のエアコンフィルター


使用品(左)と新品(右)の対比


思った以上に汚れていませんでした。交換してから半年くらいしか経っていないのか、それともこの車自体がある時期を境に使われなくなったのかは不明ですが、どちらにせよ1,290円しかかからないので交換しておきます。個人的には梅雨がある日本においては長くとも1年くらいで交換したい箇所です。


UPを上にして挿し込むだけ


これにてエアコンフィルターの交換作業は終了です。拍子抜けするくらい簡単でした…。とりあえずこれで来年までは綺麗な空気の中で過ごせるかと思います。おそらく軽自動車であればどれも構造は同じだと思いますので、1年間のスパンで定期的に交換されることをオススメ致します。Amazonで調べるとかなり安いですよ。

ワイパーゴム

  • 価格 661円(整備工場での一般的な交換費用 1,000円〜2,000円)
  • 所要時間 5分

続いてワイパーゴムです。アイのワイパーゴムは今となっては珍しい(かつてはメルセデスの代名詞でしたが)1本ワイパーなので長さが700mmもあります。アイのフロントガラスは比較的大きいのでこれくらいの長さは必要になるんでしょうね。まずはワイパーブレードを反転させて劣化具合を見ていきます。


劣化しやすい部分の代名詞でもあるワイパーゴム


うわっ…。

思わず声が漏れてしまうほどのヤバい状態。劣化したカーボンやら汚れやらで手先が真っ黒に…。しかも所々歪んでいるし、先端は裂けるチーズのように綺麗に真っ二つに引き千切れています。雨が降る前の作業で本当に良かった…。とりあえず軍手を用意してギュギュっと引き抜きました。


700mmの長大ワイパーゴム


ワイパーゴムは使わなくても要交換部品


特に問題もなく5分以内で作業完了。ワイパーゴムは車の視界を大きく左右する重要な部品…使っていなくてもブレードの圧力で常にガラスに押し付けられているので劣化は進行します。とりわけ日本の夏だと40℃を超える日もかなり多いので(30℃超えで学校閉鎖だった小学校時代が懐かしい)1年くらいで交換しましょう。

ヘッドライトの黄ばみ取り

  • 価格 1,336円(整備工場での一般的な交換費用 15,000円〜30,000円)
  • 所要時間 20分

年式相当にザラついているアイのヘッドライト


樹脂性ヘッドライトの宿命とも言えるヘッドライトの黄ばみ。しっかりと取ろうとするとヘッドライトを外したり研磨から始めたりと何かと大変です。こういった労力を伴う作業は専門のお店に頼むと相当額の費用が発生するのですが、結局のところは延命措置でしかないので今回は簡易的な黄ばみ取りで終わらせます。

ようするにどんなに頑張ってもヘッドライトの劣化を防ぐことは出来ないんですよね。近年では磨いたヘッドライトの表面にフィルムを貼ることで劣化を防ぐ方法もあるみたいですが、新車ならともかく中古の16年落ちの軽自動車には正直勿体ないというか…ヘッドライトよりも先に車の寿命が来てしまうかもしれないので。


研磨のいらないヘッドライトの黄ばみ取り


ということで何かとお世話になっているLOOXの「ヘッドライト クリア&プロテクト」を使っていきます。この黄ばみ取りは一般的な研磨ではなく薬剤で科学的に黄ばみを落とすという優れもの!粗さの異なるヤスリで段階的に磨く必要がないので、汗を掻かなくてもある程度の黄ばみなら落としてくれます。


塗ってから少し放置するだけで黄ばみが取れる


全体的に塗り終わった図


付属のペーパーで拭いている最中でさえ汚れがみるみると落ちていきます。全体的に塗り終わったら3分以内に綺麗な布で拭き取っていきましょう(長時間の放置はNG)。ちなみに本来ならばヘッドライトの周囲をマスキングする必要があるのですが、16年落ちの軽自動車なので特に気にせず作業を進めています。


ヘッドライト保護用のガラスコート


表面の薬剤を綺麗に拭き取ったら最後にガラスコートを塗っていきます。ガラスコートを塗ることでヘッドライト表面の傷が埋まる形になるのでパッと見は綺麗な感じに見えると思います。あくまで薬剤なので進行の進んだ黄ばみに効果があるのかは分かりませんが、黄ばみの初期状態であるならこれで十分です。


ガラスコート散布後のヘッドライト


表面のザラザラも綺麗に取れている


バッテリー交換

  • 価格 4,900円(整備工場での一般的な交換費用 15,000円〜40,000円)
  • 所要時間 30分

ようやく今回の主役でもあるバッテリー交換を始めます。前述の12ヶ月点検で「要交換」になっていたので確実に交換が必要な箇所です。車検館での見積もりはおおよそ15,000円だったのですが、バッテリー交換自体は過去に何度か経験があるので今回も自分で行いたいと思います。

一応車という機械製品なので何となく「下手にいじくったらヤバそう」感が出ていますが、どの車のバッテリーも原理は同じなので本当に下手にいじらない限りは大丈夫です。どちらかというと構造的な難しさではなく、物理的な重さや作業スペース的な部分(エンジンルーム内は基本的に狭い)で厄介な場面があります。

ようは狭い空間だと普段使用しているレンチが使えなかったり、位置によってはかなりアクロバティックな姿勢を強いられることもあるので構造的には「ただナットを緩めるだけ」の簡単な作業であっても色々と試行錯誤をしないと上手くいかない場合があります。そもそも重たいので垂直に持ち上げるのが大変…。


アイのボンネット内(桃色の箱がバッテリー)


バッテリーカバー


ついでにボンネット内部も簡易的に清掃


さっそくアイのボンネットを開けてみるとやはりというか…整備性のめちゃくちゃ良い位置にバッテリーが搭載されていますね。これが以前乗っていたマツダ・アテンザの場合だと本格的なスポーツカーでもないのに中途半端に重量配分に拘った結果、ボンネットの根本という整備性が最悪な場所に配置されていたりします。

基本的にバッテリーの内部には劇物(液体)が入っているので傾けるのは厳禁なのですが、ボンネットの根本という手が入りにくい位置とバッテリー本体の重さのせいで腱鞘炎になりかけました。なので整備性を考えるとアイのようにボンネットを開けた目の前にバッテリーが搭載されていることが理想なんです。

とりあえず汚かったカバーを洗って作業に移りたいと思います。ボンネット内も砂埃でひどかったので軽く清掃。やっぱり汚いと精神安定上よろしくないですからね。


Amazonで購入したBOSCHのバッテリー


バッテリーを取り外してしまうと当然ながら車の電源を喪失してしまい、車の性能にも関わる様々な設定がリセットされてしまいます。時計くらいなら後で合わせれば良いのですが、車の根幹に関わる電子系統の設定(修正データも含む)もリセットされてしまう可能性があるため電源の喪失は致命的です。

そこで使用したいのがバッテリーメモリー。外部から補助的に電源を供給することで記録されているデータの消失を防ぎます。Amazonでも1,500円くらいで販売されているので1台くらい持っておくと何かと便利です。オススメは乾電池で手軽に使用できるタイプ。予備のバッテリーに繋ぐタイプはうちだと使えません。


乾電池式(単4×6本)のバッテリーメモリー


OBDⅡ端子に繋げた図


バッテリーメモリーをOBDⅡ端子に挿し、インジケーターが正常に点灯していることを確認してから作業に移ります。このバッテリーメモリーの説明書には「作業は30分以内で終わらせて下さい」と書いてあるので、これが電池の寿命なのか、もしくはメモリーが正常に機能するための保険としての時間なのかは分かりません。

ということで時間をかけてもいられないのでどんどん交換作業を進めちゃいましょう。ちなみにある程度の想定はしていたのですが、バッテリーを留めるナットや金具類に錆が発生していたので割と外すのに時間がかかりました。粉も少し付着していたので液漏れでも発生していたのかもしれません。


バッテリーを固定している金具を外す


マイナス端子を外してからプラス端子を外し、バッテリーを慎重にケースから取り出します。取り付ける場合はこの逆で、プラス端子を接続してからマイナス端子を接続します。基本的にバッテリー交換はこの手順さえ間違えなければ大丈夫です。逆にこの手順を間違えるとヤバいことになります。


バッテリーケースに鎮座する古いバッテリー


取り外した古いバッテリー


Amazonで購入した新品バッテリー


水洗いしたバッテリーケースを所定の場所に収める


バッテリーの固定金具を取り付ける 


ケースを取り付ける前にエンジンの始動実験を忘れずに


バッテリーカバーを戻して作業完了


何とか無事に作業が終わりました。端子のナットが傷んでいたのとレンチが角度的に回しづらかったので何かと悪戦苦闘しました。こんな時にラチェットレンチでもあれば…と思っていたら、後になってZ4のトランクに入っていたことを思い出しました。そういえばエンブレムを交換する際に使っていた記憶があります。

もっと早く気がつけば…。

樹脂(ゴム剤)復活剤

  • 価格 1,890円
  • 所要時間 15分

ゴムにも使える樹脂復活剤


最後におまけで劣化した樹脂類を保護していきましょう。この製品は樹脂だけではなくてゴムにも使えるので汎用性が高くてそれなりに重宝しています。アイの樹脂は見た目こそ傷んでいるのが分かるのですが、それでも未だに機能を果たしているので国産車の部品の耐久性は凄まじいですね。余ったらZ4に使います。


塗り拡げて10分くらいしたら拭き取るだけ


このように塗った部分とそうでない部分で見た目的にかなり差が出ていますよね。この製品の個人的に好きなところは無駄に艶が出ないこと。樹脂は本来艶がないものなので、これがテッカテカに光ってしまうとチープな素材が一段とチープさを増してしまうんです。なので自然な黒感がとにかく大切。

とりわけアイの場合はその場しのぎ感が否めないのですが、Z4の場合はゴム類を交換するだけで20万円〜30万円が吹き飛ぶのでとにかく延命措置が重要です。ボトルは小さいですが結構な範囲の樹脂に塗ることが出来るので、個人的には常にストックしておきたいツールでもあります。

整備を含めた三菱アイの累計

車両価格:250,000円

  • 12ヶ月点検:6,050円
  • エアコンフィルター:1,290円
  • ワイパーゴム:661円
  • ヘッドライトクリーナー:1,336円
  • バッテリー:4,900円
  • 樹脂復活剤:1,890円

累計 266,127円

単純に整備にかかった費用は16,127円となりました。点検以外は自分で行ったので工賃がかからなかったことが大きいですね。それでも一応はまともに使えるセカンドカーになったので、動かなくなるまでは日常的な買い物用途に活躍してくれるはずです。作業の様子は動画でもまとめてみたのでご覧頂けると嬉しいです。

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