18年落ちなのに乗り続ける理由
現行の軽自動車の中では唯一無二のレイアウト

25万円の三菱アイを購入してから早2年。繋ぎのつもりが思った以上に良い車で手放せないでおります。軽自動車なので当たり前ですが狭路での機動力が高く、限りなく後方にエンジンを配置したMRレイアウトで運転が楽しいと思える稀有な車です。車の出来はさておき、レイアウトだけでカテゴライズするなら実はフェラーリやランボルギーニと同等とも言えるある意味凄い車。
エンジンが後方にあるのでハンドリングが軽く、上り坂はよく上り、下り坂は前のめりにならず、強くブレーキを踏み込んでもノーズダイブが起きにくいので安定して止まることができます。しかもタイヤサイズが前後で異なるスポーツカー張りの仕様のせいでタイヤ代は嵩みますがその分走行性能は抜群!タイヤはネットで購入すれば37,000円で済みますしね。
この車の凄いところは、本来なら本格的なスポーツカーとしてのポテンシャルを秘めているのに、それらをすべて台無しにしてしまうかのような車高の高さに設定していること。イメージ的には世界中で選りすぐりの素材を贅沢に掻き集めて料理を作ったのに、最後に大量の味の素を全体にぶっかけてしまった感じ。「無駄な贅沢」を見事に体現してしまった三菱アイは本当に凄い!
つまり三菱アイは本格的なスポーツカーではないけれど、長いホイールベースを生かして高速道路を快適に走れるだけではなく(横風には弱いけど)、大人4人を乗せて楽しく運転ができる素敵な車なのです。正直三菱アイに乗ってしまうと、他の軽自動車を運転しても何も感じないどころかストレスを感じてしまうことが多々あるので個人的には軽自動車は三菱アイ一択です。
軽自動車なのにとにかく頑丈

私のアイは発売から18年間経過している骨董品に近い年式ですが、いまだに大きな故障もせずただひたすら走行距離を刻み続けています。同じ年式でダイハツやスズキの車はあまり見かけませんけど、アイは今でも走っているのを見かけることが多いです。発売当時の三菱は不祥事で窮地に立たされていたので、信頼性獲得とイメージ向上のために生み出されたのがこの車です。
なので他の時代に製造された三菱車よりもふんだんにコストがかけられている分壊れにくくなっているとも言えます。「運転していて楽しい」「デザインが先進的でカッコいい(かわいい?)」「壊れにくい」という特徴から手放すには惜しい車の1台になっています。
格安車検の車検館に入庫!
エアコンの不調が心配
去年の夏頃から徐々にエアコン(特に冷房)の効きが悪くなり、真夏日になると車内が深刻な暑さに見舞われることが多くなりました。具体的に言うと助手席側の冷房の効きが最も良く、運転席側に向かうにつれて効きが弱く(もはや冷房ではなく送風)になる現象が発生していました。ある程度時間が経過すると冷たくはなってくるのですが、やはり助手席側に比べると弱いです。
車検館に出す前に近所の整備工場でこのエアコンについて相談したことがあったのですが、「三菱アイのエアコンは左右独立式ではないので右側のエアコンだけ送風になる理由が分からない、時間が経つと冷えてくるのもあまり実例がない、コンプレッサーの出力が弱いのかもしれないけど実際に見てみないと分からないし原因が解明できるかも分かりません。」とのこと。
正直このエアコンの修理費用が高額だった場合は三菱アイの寿命と捉えて手放そうかと悩んだこともありました。さすがに今年の夏をエアコンの効かない車内で過ごすことは自殺行為なので、本格的に暑くなる前に車検館で見てもらうことにしたのです。駄目なら手放すか…くらいな気持ちで。
交換部品がどれくらい生じるのか不安

車検は格安車検でお馴染みの車検館で行うことにしました。基本料金が49,000円で、交換部品があった場合はさらに金額が上乗せされます。18年落ちなので経年劣化による交換部品がどれくらい出てくるのかが不安です。とりあえず考えていても仕方がないので、待合室の一角にある無料のドリンクコーナーで時間をつぶします。コーヒーとか紅茶とか色々と揃っているのが嬉しい!
しばらくすると整備士の方からお声がかかりました。どこの車検場でも同じだと思いますが、車検館でも交換が必要、あるいは推奨される箇所を説明し、納得の上で作業を進めることになっています。
想像以上に何もなかった(安堵)

今回交換が必要される箇所は
- LED表示灯(発煙筒)
- ブレーキメンテナンス
今回交換が推奨される箇所は
- オートマチックフルード
- ブレーキフルード
- エンジン冷却材
個人的に気になったので交換して貰った箇所は
- エアコンガスの補充
意外にも経年劣化が疑われる足回り関係やプラグ関係は特に異常はないとのことでした。エアコンに関しては車検館でも原因は解明できませんでしたが、コンプレッサーに不調がある場合はそもそも風が来ないので、とりあえずエアコンガスを補充してみようという流れになりました。これが功を奏したのか、アイのエアコンからは見事に冷たい風が出てくるようになりました!
その後も2ヶ月経過しましたが(車検を受けたのは5月頃)、7月の35度を越える日でも車内はキンキンに冷えてくれるので車検館に預けて本当に良かったです。
車検の合計金額は81,240円

この金額が高いか安いのかは判断しかねますが、個人的には「安い」と思えるほど満足できる内容でした。もうしばらくはこのアイと色々なところに出かけられそうな気がして嬉しいですね。
おまけ「三菱アイの貧弱な収納関係」シリーズ
とにかく物をしまえない

三菱アイは走行性能にすべてをつぎ込んでしまったせいか収納スペースが壊滅的なことになっています。ロングホイールベース由来の前後の間隔は広いので私のような身長180cmの体格でも窮屈さを感じないくらい広々とはしているのですが、いかんせん物を置いておくスペースすらもなくて地味に不便です。何しろ曲面しかないのでスマホホルダーの吸盤すら取付できる箇所がありません。

アイの中で最も収納力があるところが助手席側のグローブボックス。とは言ってもご覧の通り車検証を入れたら他には何も入らないくらいキャパが小さいです。

グローブボックスの上にはレシートくらいなら置いておける微妙な空間、そしてその上部にはティッシュの箱を収納してそのまま中身だけを取り出せる面白いギミックがあります。私はアレルギー性鼻炎もちなのでこれだけは非常にありがたい機能です。三菱アイは開発当初はプレミアムカー枠だったので、すべてのグレードでオートエアコンになります。何気にパワーウィンドウのスイッチも前席オート機能付きなのは凄い。

シフトレバーの奥にはこれまた微妙な小物入れがあります。底が浅すぎてレシートくらいしか置けません。逆にこの空間には何もないほうが見た目的にはスッキリするのではと思ってしまいます。

最近めっきり見かけなくなったカードトレイ。唯一使い道がありそうな駐車券も今では事前精算機に通すことがほとんどなので車内で保管することはほとんどなくなりました。ナンバー読取式だとそもそも駐車券が発行されないので、カードトレイ自体の存在意義がなくなりかけています。大袈裟に言ってしまえば「過去の遺構」とも捉えることができそうな歴史的装備のひとつです。

エアコンのスイッチ下にはドリンクホルダーと、狂ったように使いづらい小物入れがあります。この小物入れにはレシートすらも入らないので本当に使えない!マジで使えない!いや、ふつうはここにドリンクホルダーがあるべきだと思う!なぜ運転席側にドリンクホルダーがひとつもないのか本当に疑問です。

運転席側になくて助手席側にだけあるもの…そう、ドリンクホルダー!ちなみに前席のドリンクホルダーはいずれもエアコン送風口の直下にあるので、ここに500mlのボトルを置くとエアコンの風を遮って室内が冷えなくなります。飲み物はキンキンに冷えているのに室内が全然冷えないのは何とも皮肉な話ですね。足元がメインの暖房ならまだしも冷房を使う夏場は本当に不便です。
念の為伝えておきますが、後席はドリンクホルダーはもちろんのこと、その他の収納も皆無になります。つまりゼロです。飲み物を買った場合は後席に置けないので常に手で持っているか前席の空いているドリンクホルダーに置いておく必要があります。一般的な車ならドアパネルにドリンクホルダーくらいあると思うのですが、アイの場合は何もないのでご注意を…。

荷室は少し物が多くて汚いですが、薄型のベビーカー程度なら入るくらいのスペースならあります。三菱アイはこの荷室の下にエンジンがあるので、断熱材越しに多少の熱が伝わってくる関係上、お寿司とか生肉類を購入した袋はここに置かないほうがいいかもしれません。

なぜかスピーカーだけは恵まれていて計6つ搭載されています。しっかりとしたオーディオを準備してデッドニングを施せば極めて優秀な音響空間を作り上げることができます。アイのデザインは全体的にドームのような球体に近い形状をしているので、コンサートホールなどと同様に音響的には優れているのかもしれません。純正のオーディオでもなかなかの臨場感を楽しめます。
それでも楽しいミッドシップ
得るは捨てるにあり…。
何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならないという諺です。三菱アイの場合は走り以外のほとんどを犠牲にしている感がありますが、一方でその犠牲の分走行性能に関しては他の軽自動車とは比べ物にならないほど本格的なものになっています。同年代で比較するとスバルR1もスーパーチャージャー付きで走りの楽しい車でしたがあちらはあくまでFFレイアウト。
ドアも2ドアで後席はおまけであることを考えると、4ドアで後席も余裕をもって座れるアイのレイアウトは当時の軽自動車の中でも画期的なくらい広かった思いがあります。あと何年乗れるかは分かりませんが手放すには惜しい車…そんな魅力溢れる車が三菱アイなのです。
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