BMW 1シリーズ(118d M Sport Edition Shadow)レビュー

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積極的に選べるモデルへの進化

  • 直列4気筒2,000ccディーゼルターボ
  • 駆動方式FR
  • 150ps/32.6kgm

Z4のルーフ修理に時間がかかるとのことで、代車として用意してくれたのがこの1シリーズ(118d)です。正規ディーラーで整備を行うと最新の車種を貸し出してくれるので、車の魅力を堪能するには絶好の機械となります。しかも今回は「M Sport Edition Shadow」のディーゼルターボモデルなので期待度はめちゃくちゃ高いです!

乗り出し価格は440万円くらい。BMW車種群の中でも最安価な1シリーズですが、価格帯的にはかつての3シリーズ並に値上がっています。果たしてその実力は如何に!?

エクステリア

まずは車の魅力を決定的に左右するエクステリアデザインから。うんうん、思ったよりも塊感が強調されていてカッコいいじゃないですか!ディーラーで見たときはホワイトだったので(照明の影響もあるかも)なんとなくのっぺりとした印象をもっていたのですが、ブラックだとより彫刻感が出ていて力強さを感じます。

フロントからサイドにかけてのギュッと引き締まったラインが現在のBMWのテイストが反映されていますね。M Sport仕様なので通常モデルよりもよりアグレッシブな迫力のある雰囲気が素敵です。コンパクトカーながらも安っぽさは一切感じず、BMWの名に恥じないしっかりとした造り込みが外観デザインからも感じ取ることができます。

ホイールは「M Sport Edition Shadow」の特別仕様。光沢ブラックの5本スポークがめちゃくちゃカッコいいです。

インテリア

このモデルは通算1シリーズの2代目における後期型となります。前期型と比べて光沢パネルの面積が広くなっているので質感においては申し分ありません。レザーパッケージなのでシートヒーターも冬には嬉しい装備。腰と太ももを暖めてくれるのでエアコンをつけなくても室内は快適に過ごせます。シートのホールド性も硬すぎず心地良い感じです。

他にもアンビエントランプ(キーレスでカギを開けるとドアノブを照らしてくれる)や室内イルミネーションも最新のBMWの流儀です。国産車とは異なり金属っぽい部品はメッキではなく本当に金属が使われています。

後席にもエアコン吹き出し口を搭載。レッグスペース(足元の空間)の広さは3シリーズには及ばないものの、そもそもドイツ人の体格で設計されているので欧米人と比べて小柄な日本人には十分すぎるスペース。むしろ日本車もこれくらい広くして欲しいくらい。シートも分厚く包み込むような座り心地なので長距離移動でも疲れにくいと思います。

余談ですがシートベルトのバックルも「カチッ」と質感が高く、このあたりも国産車にはない魅力を感じる部分です。

キーレスは左右非対称のデザイン。個人的には左右対象のほうが好みです。

シフトレバーは独特の操作感で初見ではいまいち感覚を掴みにくいです。私のZ4は前期型なのでこのタイプではありません。ナビやオーディオを操作するためのiDrive(左の円形の部分)が搭載されていますが、万が一故障すると40万円はかかるとのことなので、私のZ4はナビなしのスタイルエッセンスを選んで国産ナビを取り付けています。

メーターは黒い板のようなパネルに映し出される自発光式。これは2シリーズにも採用されていますが、見た目がフラットなので質感が非常に高いです。純正ナビゲーションと連動しているので、次に曲がる箇所がメーター内にて矢印で表示されます。視線移動が少ないので何かと便利。

ドアノブ照明。光るギミックが好きな人には堪らない演出。

走行インプレッション

さすがはディーゼルターボ!アクセルを踏んだときのグワッとした加速感は圧巻です。当然直6ターボを搭載したM140iのほうが圧倒的な加速感はありますが、このクラスでこの速さは過剰そのもの。高速走行時に排気量の壁を感じることもありますが、日常生活においてよく使うのは40~60キロの速度域なので問題ありません。

ステアリングやペダル類のフィーリング、ブレーキの制動力は非の打ち所がないくらい自然でしっかりとしたもの。価格帯が異なるので一概には言えませんが、このクラスにおいて国産車で太刀打ちできる車はほぼ皆無です。路面を掴むようなドッシリ感は重たい塊を動かしているようで全体的に質の高い運転を楽しめます。

アイドリング時の振動もかなり抑えられているのでディーゼル特有の振動音を感じることはありません。遮音性が優れているのか室内にいるときは気になりませんが、外に出るとエンジンのアイドリングが比較的大きく感じます。これは私のZ4も同様で、室内は静かですが外に出ると6気筒の爆音サウンド(純正ですが)が聞こえます。

積極的に選びたくなる1シリーズ

外国車では多くの国産車とは異なり車名が「1」や「A」などのようにクラス分けされていることがほとんどです。BMWは1シリーズより3シリーズのほうが、メルセデスはAクラスよりもCクラスのほうがサイズや車格が上がっていくイメージです。しかし近年の欧州車は車格においてほとんど気にならないレベルで差別化がされていると思います。

国産車で例えるならカローラよりもプレミオ、プレミオよりもマークX、マークXよりもクラウンといったように車格が向上しますが、現在のBMWの場合は1シリーズも3シリーズも車格における分け方ではなく、あくまでサイズ的な分け方で意味をなさないと感じました。つまり1シリーズも3シリーズもほぼ同等の゙高質感を得ることができるのです。

つまり「お金がないから安い軽でいいや」ではなく「お金があっても1シリーズを選ぶ」という選択肢が可能になりました。それくらい今回の1シリーズの完成度は高く、私の住んでいる23区某所においては道路事情的にも1シリーズのほうが魅力的に映ります。つまり「最安価だからといって我慢を必要としなくなった」が正解なのかもしれません。

快適性も660万円のZ4より440万円の1シリーズのほうが上です(さすがにサーキット走行を前提としたZ4と比べるのは無理がありますが)。運転の楽しさだけを追及するのならZ4の方が向いていますが、日常使いを考慮すると明らかに1シリーズのほうが扱いやすいでしょう。この魅力を代車で伝えてしまおうとするBMWの戦略は完璧ですね(笑)

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